蓄光印刷

蓄光印刷|インクの性質やN夜光・蛍光塗料との関係について

蓄光印刷とは?

蓄光剤が入った透明なインク(蓄光インキ)で印刷する特殊印刷です。通常の印刷物の上からこの加工を行うことによって、太陽光や蛍光灯、LEDなど光を蓄えて、暗闇で一定時間黄緑色に発光します。ポスターや屋外用看板、誘導シール・ステッカーなどで暗所でデザイン性をアピールするような場合に使用される印刷技術です。

電源を必要とせずに発光するため、安全・防災の分野で多く利用されています。通常使用されている蓄光インクは外観やデザイン性を重要視する為、短時間での発光でも大丈夫ですが、より明るく長い時間発光できるものは、災害などの緊急の場合に使われることもあります。
一般的な印刷技術と比べて製作コストが高くなるため、大量生産には向いていません。しかし、特定の条件下で優れた視認性を発揮するため、効果的な広告や安全標識として使用されることがあります。

発光の仕組み

蓄光と蛍光の違い

蛍光は「ブラックライトを照射すると発光する」
蓄光は「明所で光を蓄え、それを暗所で発散して発光する」
といった違いがあります。

特徴

電源不要で発光

その名の通り、光を蓄える事で電源不要で発光します。エネルギー源が不要で発光できる為、ランニングコストがゼロなのが大きなメリットとなります。

明所と暗所で大きくデザインが変わる為、ポスター・パッケージ・プレート看板・はがき・ステッカー・ラベル等の様々な印刷物に利用可能です。遊園地のアトラクションのギミックや、自宅で衝突・転倒して怪我をする可能性のある箇所に蓄光テープを貼り付けて、怪我防止に使用するといった使用ケースもあります。また、停電や災害時でも光を蓄えていれば自ら発光するので、緊急時の避難誘導や目印などにも使用されています。

仕様用途

  • 広告物:夜間に人目を引く看板やポスターとして使用されます。
  • 安全標識:非常口や避難路の案内標識など、災害時に安全に避難するための標識として使用されます。
  • セキュリティ機器:暗い場所でも操作が容易な、セキュリティ機器の操作ボタンなどに使用されます。

発光の強さ

蓄光インキは明るい場所で吸収し蓄積した光を暗転後に徐々に放出する、という特性をもちます。よって、消灯時などの急激に暗くなった際に、一番輝いて見えます。逆に、徐々に暗くなっていくような状況ではあまり発光しません。

暗転後は一定時間発光し時間経過と共に少しずつ暗くなっていきますが、再度光を蓄積させれば半永久的に何度でも発光させることが可能です。場所を選ばず、掲載可能となります。また、インキの種類を変えることによって、数時間にわたって発光可能となります。

蓄光インクについて

インクの種類

「通常インク」と「高輝度インク」の2種類が存在します。「高輝度インク」は色合いの変化に加え、暗闇における視認性が大幅に上がり、鮮明に文字やイラストが表示することができます。印刷回数を増やしてインク被膜を厚くすることで、発光時間を長くすることも可能です。

通常インクに耐候性・耐水性はありませんが、避難誘導看板や非常口標識など屋外設置用の掲載物には、耐候性・耐水性のあるインクを使用することで雨風や紫外線などの屋外環境でも劣化しにくくすることができます。

健康への影響は?

結論、ありません。
1900年代、光を蓄える必要のない自光する放射性物質「ラジウム」が塗料として広く使用されており、夜光時計の文字盤として使用されていました(ラジウム・ガールズ)。しかし、ラジウムを直接体内に取り込むような労働環境だったため、健康被害が多数報告され、現在では使用禁止となっています。

現在では、根本特殊化学株式会社が開発した「N夜光・ルミノ―バ」が普及しており、ほとんどの印刷会社が使用しています。もちろん放射性物質は含まれておらず、長時間発光する蓄光塗料となっております。弊社もこちらの顔料を使用しています。

発色

発色は「レッド・ブルー・グリーン」の3種類から選択可能です、設置場所やデザインに合わせてお選びください。因みに、蓄光塗料と夜光塗料は、表現が異なるだけで品質や仕組みに違いはありません。

製作事例

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まとめ

日常生活の様々な場面で見かける蓄光印刷は、

  • 電源不要でどこにでも設置可能
  • ランニングコスト・メンテナンス不要
  • 避難誘導として、火災や停電などの緊急時にも活躍
  • 急激に明度を下げた際に、最も明るく発光する
  • 蓄光インクは放射性物質を含んでおらず、安全性が確認されている

といった特徴があります。緊急時においてその真価を発揮する印刷技術ですね。
蓄光印刷やシルクスクリーン印刷について技術的な質問、デザインや納期、費用などを含めた製作依頼などは、以下のフォームからお問い合わせいただければ専門のスタッフが対応させていただきます。是非、お気軽にご相談ください。

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